咀嚼とは口の重要な機能の一つである、食べ物を嚙み砕き、また唾液と混ぜることでのみ込みやすい柔らかい食塊という状態にすることです。
矯正のカウンセリングで、よく「小臼歯を抜歯すると嚙みにくくなるのでは?」と患者様に質問されます。
結論から申し上げると、小臼歯を抜歯しても咬む機能に全く問題はございません。
昭和大学 歯学部 歯科矯正学教室の「上下顎小臼歯抜歯症例における咀嚼機能の変化」という1999年の論文によると、抜歯直後は一時的に咀嚼能力は減少するものの、保定時には、初診時と同程度になると報告されています。
また一番奥の第二大臼歯が欠損している場合にインプラントで補綴する必要性があるかをテーマに咀嚼効率を測定した別の実験もございます。28本歯が揃っている正常者と、上下左右とも第二大臼歯が欠損し24本しか歯がない人の咀嚼効率を比べたところ、24本しかない人でも98%以上の咀嚼効率を示したといいます。小臼歯は第二大臼歯よりもかなり小さいので、小臼歯が4本欠損していても咀嚼効率はほぼ100%と予想されます。